ホワイトニング効果に個人差が出るのはなぜ?歯質・初期色・年齢・変色原因から論文で考える
「同じホワイトニングを受けたのに、友人の方が白くなった」
「1回でかなり白くなる人と、何回か必要な人がいるのはなぜ?」
ホワイトニングを行っていると、このような質問をありが歯科で受けることがあります。
実際、同じホワイトニング剤を同じ時間使用しても、すべての人の歯が同じように白くなるわけではありません。
ホワイトニング効果には、使用する薬剤や施術方法だけでなく、
・施術前の歯の色(初期色)
・年齢
・エナメル質と象牙質の状態
・黄ばみや変色の原因
・歯による色調の違い
など、患者さん自身の歯がもつ条件が関係します。
実際、複数の臨床試験データを統合した研究でも、治療前の歯の色と年齢がホワイトニング効果を予測する重要な因子であることが報告されています。
つまり、
「どのホワイトニング剤を使うか」だけでなく、「もともとどのような歯を白くするのか」も結果を左右する
ということです。
今回は、ありが歯科がホワイトニング効果に個人差が生じる理由を、歯科医学と研究データから詳しく解説します。

まず結論|ホワイトニング効果を左右する主な要因
ホワイトニングの反応には個人差がありますが、特に重要なのは次の要因です。
| 要因 | ホワイトニングへの影響 |
|---|---|
| 初期の歯の色 | 暗い・黄色味の強い歯ほど色調変化が大きく現れる場合がある |
| 年齢 | 若年者の方が大きな色調変化を示す傾向が報告されている |
| 変色の種類 | 外因性・加齢性・薬剤性など原因によって反応が異なる |
| エナメル質・象牙質 | 歯の光学的性質や内部色調に関係する |
| 歯の部位・歯種 | 同じ口腔内でも均一に白くなるとは限らない |
| ホワイトニング方法 | 薬剤濃度、接触時間、施術回数なども結果に関係する |
したがって、「1回で○段階白くなります」と全員に同じ結果を予測することは難しいのです。
① もともとの歯が暗い人ほど変化が大きく出ることがある
ホワイトニング効果を考えるうえで非常に重要なのが、**施術前の歯の色(baseline color)**です。
2016年に Journal of Dentistry に掲載された研究では、11件のホワイトニング臨床試験、合計426人の患者データを統合して、どのような要因がホワイトニング効果を予測するのか解析しています。
その結果、治療前の歯の色と年齢が色調変化と有意に関連していました。
研究では、治療前のShade Guide Unit(SGU)が1段階暗くなるごとに、最終的な色調変化量ΔSGUが約0.66大きくなりました。
つまり、
もともと暗い歯ほど「変化量」が大きくなる傾向
が確認されたことになります。
別の分光測色計を用いた研究でも、施術前の黄色方向を示すb*値が大きいほど、ホワイトニング後の色差ΔEが大きくなる関連が報告されています。
これは臨床的にも興味深い点です。
「もともと白い歯」と「黄色味の強い歯」に同じホワイトニングを行った場合、後者の方がBefore→Afterの変化が大きく見えることがあります。
反対に、すでにかなり明るい歯の場合には、同じ施術をしても見た目の変化が小さく感じられる可能性があります。
したがって、ホワイトニング効果は最終的な白さだけでなく、スタート地点からどのくらい変化したかで考える必要があります。
② 「黄色い歯」は比較的変化を感じやすいことがある
歯の色は単純な「白・黄色」ではありません。
歯科研究では、色を客観的に評価するためにCIE Lab*などの色空間が使用されます。
簡単に説明すると、
L=明るさ
a=赤~緑方向
b*=黄~青方向**
を表します。
ホワイトニングでは一般に、明度が上昇し、黄色方向を示すb*値が低下する変化がみられます。
分光測色計を用いた研究では、ホワイトニングによってLが増加し、a・b*が減少しました。
さらに、施術前のb*値とホワイトニング後の色差ΔEには正の相関が認められています。
つまり、黄色味の強い歯では色調変化が比較的大きく現れる可能性があるということです。
ただし、「黄色なら必ず白くなる」「灰色なら白くならない」と単純に分類できるわけではありません。
なぜその色になっているのかという変色の原因まで確認する必要があります。
③ 年齢によってホワイトニングへの反応が違う
年齢もホワイトニング効果に関係することが研究されています。
先ほどの426人を対象とした解析では、年齢が1歳上がるごとに、最終的な色調変化量が統計学的に小さくなる傾向が認められました。
そして2025年には、この問題をより直接的に検討した臨床研究が Journal of Dentistry に発表されています。
研究では130人を、
15~24歳の若年群
と
45~78歳の年長群
に分け、10%過酸化尿素によるホームホワイトニングを1日2時間、21日間行いました。
色の変化は肉眼だけではなく、
ΔEab
ΔE00
ΔWID
シェードガイド
という複数の方法で評価されています。
結果は、若年群の方が年長群より有意に大きなホワイトニング効果を示しました。
重要なのは、
「年齢が高いとホワイトニングできない」という意味ではない
ことです。
年長群でもホワイトニング後には審美的自己評価の改善が確認されています。
つまり年齢は、「できる・できない」を決める要因ではなく、どの程度反応するかに影響する可能性がある因子の一つと考える方が適切です。
④ なぜ年齢によって歯の反応が変わるのか?
ここからは歯そのものの構造を考える必要があります。
天然歯の色は、表面のエナメル質だけで決まっているわけではありません。
歯の内部にある象牙質の色とエナメル質の光学的性質が組み合わさって、私たちが見ている「歯の色」になります。
加齢に伴って歯にはさまざまな変化が起こります。
例えば、
・二次象牙質の形成
・象牙質自体の色調変化
・エナメル質の摩耗
・長期間の飲食による着色
などです。
そのため、若い人の黄ばみと50~60代の方の黄ばみでは、見た目が似ていても内部構造や色の成り立ちが同じとは限りません。
これが、同じホワイトニング剤を使用しても結果が完全には一致しない理由の一つと考えられます。
⑤ 「歯質が違うから白くならない」はどこまで正しい?
「私は歯質が強いからホワイトニングが効きにくいのでしょうか?」
と質問されることがあります。
ここは少し注意が必要です。
一般的に使われる「歯質」という言葉には、
エナメル質の厚さ
透明性
象牙質の色
石灰化状態
歯の形態
など複数の意味が混在しています。
したがって、
「エナメル質が厚い=ホワイトニングしにくい」
のように一つの条件だけで結果を予測することは困難です。
過酸化水素はエナメル質を通過して象牙質方向へ拡散できる小さな分子です。
ホワイトニングでは、エナメル質表面だけを漂白しているのではなく、歯質内への過酸化物の拡散と酸化反応が色調変化に関係しています。
そのため臨床では、「歯質」という曖昧な言葉だけで判断するより、
初期色・年齢・変色原因・修復物の有無などを総合的に評価する方が重要です。
⑥ コーヒーによる着色と加齢による黄ばみは同じではない
患者さんが「歯が黄色い」と感じていても、その原因は一つではありません。
例えばベトナムコーヒー、紅茶、赤ワイン、喫煙などによる色素が歯の表面に付着している場合は、外因性ステインが大きく関係している可能性があります。
この場合には、まず歯科医院でクリーニングを行うことで、本来の歯の色に近づけられることがあります。
一方、
クリーニングをしても歯そのものが黄色く見える
場合には、象牙質など天然歯自体の色が関係している可能性があります。
こちらはホワイトニングの対象になります。
つまり、
表面の着色 → まずクリーニング
天然歯そのものの色 → ホワイトニングを検討
と考えることができます。
「黄色いからホワイトニング」ではなく、なぜ黄色く見えているのかを診断することが重要です。
⑦ テトラサイクリンによる変色は別に考える必要がある
ホワイトニング効果の個人差を考えるとき、特に注意したいのがテトラサイクリンによる歯の変色です。
歯の形成期にテトラサイクリン系抗菌薬の影響を受けると、歯の内部に特徴的な黄色・褐色・灰色などの変色が生じることがあります。
このような内因性変色は、一般的な加齢性の黄ばみと同じ条件では考えられません。
テトラサイクリン変色歯でもホワイトニングによる改善が期待できるケースはありますが、より長期間の処置が必要になる場合があります。
また、重度の変色では色調改善に限界があることも考慮します。
ホームホワイトニングの予後を調べたシステマティックレビューでも、重度のテトラサイクリン変色では色の再発が大きい可能性が指摘されています。
つまり「ホワイトニングが効く・効かない」という二択ではなく、
変色原因によって必要な治療期間や期待できる結果が異なる
と考えることが大切です。
⑧ 同じ人でも「全部の歯」が同じように白くなるとは限らない
個人差だけでなく、同じ患者さんの口の中でも歯によって反応が違うことがあります。
天然歯はすべて同じ色ではありません。
例えば犬歯は中切歯・側切歯より黄色味が強く見えることがあります。
また、1本の歯の中でも、
歯頸部
中央部
切縁部
では色調やエナメル質の厚さ、象牙質の見え方が異なります。
分光測色計を使ってホワイトニング前後を測定した研究でも、歯頸部・中央部・切縁部でL*、a*、b*の変化の仕方が異なることが報告されています。
つまり、ホワイトニングは「歯を均一な白色に塗る処置」ではありません。
天然歯がもともと持っている色調・透明感・部位差を残しながら全体の色調が変化する
と考えた方が実際に近いでしょう。
⑨ 1回の結果だけで「効きにくい歯」と判断しない
オフィスホワイトニングを1回受けて、
「思ったほど白くならなかった」
と感じることがあります。
しかし、それだけで「ホワイトニングが効かない歯」と判断するのは早い場合があります。
色調変化は、
薬剤濃度
接触時間
施術回数
ホワイトニング方法
初期色
年齢
変色原因
などの組み合わせで決まります。
また、オフィスホワイトニング直後は歯の一時的な脱水によって、実際の安定した色調より白く見えることがあります。
そのため研究では、施術直後だけでなく、一定期間経過した後に色を測定してホワイトニング効果を評価することがあります。
「その日の白さ」だけを見るのではなく、色調が安定してから評価することも重要です。
⑩ 「何回で白くなりますか?」に正確な答えがない理由
ここまで読んでいただくと、
「ホワイトニングは何回受ければ白くなりますか?」
という質問に、全員共通の数字で答えるのが難しい理由が分かると思います。
例えば、
Aさん:もともと黄色味が強い天然歯
と、
Bさん:すでに明るい色調の天然歯
では、同じ1回のオフィスホワイトニングでもBefore→Afterの変化量が異なる可能性があります。
さらに、
Cさん:加齢性の黄ばみ
Dさん:テトラサイクリンによる内因性変色
では、同じ「黄色い歯」に見えても背景が異なります。
そのため、ホワイトニングでは最初に現在の色を確認し、
「今どの色なのか」
「どのくらいの白さを希望するのか」
「どのような原因で現在の色になっているのか」
を考えることが重要です。
ありが歯科では「1回で○段階」を全員共通の結果とは考えません
ホワイトニングでは「1回で○段階白くなる」という表現を見かけることがあります。
確かにシェードガイドを使用すれば、施術前後の色の変化を段階として確認することはできます。
しかし研究を見ると、初期色や年齢だけでもホワイトニング反応には差が生じます。
そのためありが歯科では、患者さん全員が同じように白くなるとは考えていません。
施術前に歯の状態や現在の色を確認し、希望する白さを聞いたうえでホワイトニングを行います。
特に、
「結婚式までに白くしたい」
「一度でできるだけ変化を出したい」
「自然な白さにしたい」
など、目標によって選択する方法も変わります。
大切なのは「何回やれば絶対この色になる」と考えることではなく、自分の歯がどのような条件を持っているのかを確認しながら目標の色に近づけていくことです。
まとめ|ホワイトニングの個人差には理由がある
ホワイトニングの結果に個人差があるのは、決して珍しいことではありません。
特に研究から比較的明確に示されているのが、
「施術前の歯の色」と「年齢」
です。
複数の臨床試験を統合した研究では、若い人、そして施術前の色が暗い人ほど色調変化が大きくなる傾向が示されています。
さらに、黄色味の程度、加齢による歯の変化、内因性変色、歯の部位なども、最終的に見える白さを考えるうえで無視できません。
だからこそ、
「友人が1回で白くなったから、自分も同じ結果になる」
とは限りません。
反対に、1回で大きく変化しなかったからといって、すぐに「自分の歯にはホワイトニングが効かない」と判断する必要もありません。
ホワイトニングは、単に強い薬剤を使用して歯を白くする処置ではなく、
現在の歯の色
+ 年齢
+ 歯の構造
+ 変色の原因
+ 使用するホワイトニング方法
を総合的に考える治療です。
ホワイトニングの個人差を理解することは、必要以上に「白くならなかった」と不安になったり、反対に「必ず1回で真っ白になる」と期待したりすることを避けることにもつながります。
ありが歯科では、ホワイトニング前に現在の歯の状態と色を確認し、患者さんが希望する白さを聞いたうえで、オフィスホワイトニングやホームホワイトニングなどの方法をご提案しています。
「自分の歯なら、どのくらいの変化が期待できそうか」
というところから相談することが、ホワイトニングを始める第一歩です。
参考文献
- Rezende M, et al. Predictive factors on the efficacy and risk/intensity of tooth sensitivity of dental bleaching: A multi regression and logistic analysis. Journal of Dentistry. 2016;45:1-6. doi:10.1016/j.jdent.2015.11.003.
- Clinical performance of at-home dental bleaching in younger and older adults: A non-randomized, double-blind trial. Journal of Dentistry. 2025; DOI:10.1016/j.jdent.2025.105825.
- Kwon SR, Wertz PW. Review of the Mechanism of Tooth Whitening. Journal of Esthetic and Restorative Dentistry. 2015;27(5):240-257.
- Assessment of tooth bleaching efficacy with spectrophotometer. Study evaluating L*, a*, b* and ΔE changes after bleaching and their relationship with baseline tooth color.
- Prognosis in home dental bleaching: a systematic review. Clinical Oral Investigations. 2023. doi:10.1007/s00784-023-05069-0.
- Joiner A. Tooth colour: a review of the literature. Journal of Dentistry. 2004;32 Suppl 1:3-12.
ホワイトニングについてもっと詳しく知りたい方はこちら
→ ホーチミンで歯のホワイトニング完全ガイド
執筆・監修歯科医 ありが歯科院長 有賀智哉
日本人歯科医師として、ホーチミン旧1区にて日本品質の歯科治療を提供。
一般歯科・小児矯正・インプラント・ホワイトニングまで幅広く対応しています。
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