白ワインなら歯に優しい?実は赤ワインより歯を溶かす可能性があった!

赤ワインを飲んだ後、歯や唇に色が付いた経験はありませんか?

一方、白ワインは透明に近い色なので、「歯が黄ばみにくそう」「赤ワインより歯に優しそう」と思う方もいるでしょう。

ところが、歯科の研究では少し意外な結果が報告されています。

白ワインは、赤ワインより歯のエナメル質を溶かす作用が強かったという研究があるのです。

「えっ、白ワインの方が危険なの?」

そう思われるかもしれません。

ただし、ここには大切な違いがあります。

赤ワインで問題になりやすいのは「歯への着色」。一方、白ワインで注目されているのは「酸による歯の表面への影響」です。

つまり、歯の色だけを見ていては気づかない問題があるのです。

この記事では、ベトナム・ホーチミンのありが歯科が、赤ワインと白ワインの違いを実際の研究論文から解説します。

ワインが好きな方、歯の黄ばみが気になる方、ホワイトニングを検討している方は、ぜひ参考にしてください。

1.結論!赤ワインと白ワイン、歯に悪いのはどっち?

赤ワインは着色、白ワインは酸蝕に注意。ただし、どちらが歯に悪いかを一律に決めることはできません。

比較項目赤ワイン白ワイン
見た目の色赤紫色透明〜淡い黄色
歯の着色色素による着色に注意自身の色素は少ないが、後から飲む飲料による着色に影響する可能性
酸による歯への影響酸蝕の可能性がある一部の研究で赤ワインより強い酸蝕作用
主な注意点着色と酸蝕酸蝕
歯科医院での対応着色除去や歯質の確認エナメル質の状態や知覚過敏の確認

ここで覚えていただきたいのは、「歯が着色すること」と「歯が溶けること」は別の現象だということです。

歯が赤っぽくなっても、表面に付いた着色であれば歯科医院のクリーニングで改善できることがあります。

しかし、酸によって失われたエナメル質は、クリーニングやホワイトニングで元どおりに再生できるものではありません。

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2.衝撃の研究!白ワインの方が歯からカルシウムが多く溶け出した

2009年、ドイツのマインツ大学の研究者らが、赤ワインと白ワインの歯への影響を比較しました。

研究では、ヨーロッパ産の赤ワイン50種類、白ワイン50種類を調査し、その中から酸性度の異なる8種類を選びました。

さらに、抜去されたヒトの永久歯25本からエナメル質試料を作り、ワインに最大24時間浸漬しました。

調べたのは、歯から溶け出したカルシウムの量や表面の変化です。

結果はどうだった?

24時間の浸漬後、白ワイン群では赤ワイン群よりもカルシウムの溶出量が有意に多くなりました。

統計学的にも有意な差が認められています(P=0.003)。

さらに、白ワインではエナメル質のより深い部分までカルシウムの減少が確認されました。

この実験では、白ワインの方が赤ワインより強い酸蝕作用を示したのです。

ただし、24時間ワインに歯を浸すという条件は、通常の食事とは大きく異なります。

この結果だけで、「白ワインを1杯飲むと赤ワインより歯が溶ける」とは言えません。

それでも、色の薄い白ワインにこれほどの酸蝕作用があったことは、歯科医療において注目すべき結果です。

参考:Willershausen B, et al. Prolonged in vitro exposure to white wines enhances the erosive damage on human permanent teeth compared with red wines. Nutrition Research. 2009.

研究論文はこちら

3.そもそも「ワインで歯が溶ける」ってどういうこと?

歯が溶けると聞くと、虫歯を思い浮かべる方が多いかもしれません。

しかし、虫歯とワインによる酸蝕は仕組みが違います。

虫歯と酸蝕症の違い

虫歯は、主に口の中の細菌が糖を利用して酸を作り、その酸によって歯のミネラルが失われる病気です。

一方、酸蝕症は、飲食物や胃酸など、細菌が作る酸以外の酸によって歯の硬組織が失われる状態です。

ワインには、酒石酸、リンゴ酸、乳酸などの有機酸が含まれています。

こうした酸が歯の表面に繰り返し触れると、エナメル質からカルシウムなどのミネラルが溶け出すことがあります。

歯が溶けると何が起こる?

初期には、自分で変化に気づかないこともあります。

進行すると、次のような変化が見られることがあります。

  • 歯の表面の光沢や形が変わる
  • 前歯の先端が薄く、透けて見える
  • 冷たいものがしみる
  • 歯の表面がすり減ったように見える
  • 象牙質が透けて、歯が黄色っぽく見える

特に重要なのは、酸蝕が進むと、着色していなくても歯が黄色く見える場合があることです。

エナメル質が薄くなると、その内側にある黄色みを帯びた象牙質の影響が強くなるためです。

つまり、白ワインは歯を直接黄色く染めなくても、歯の見た目に影響する可能性があるのです。

4.2023年の研究でも白ワインの酸蝕作用が強かった

2009年の研究だけではありません。

2023年に発表された研究では、赤ワイン、白ワイン、ビール、蒸留酒、水を比較しています。

研究者らは50個のエナメル質試料を5つのグループに分け、脱灰と人工唾液による再石灰化を繰り返す実験を行いました。

その結果、調査したアルコール飲料はいずれもエナメル質に酸蝕作用を示しました。

そして、この実験で最も強い酸蝕作用を示したのが白ワインでした。

一方、蒸留酒は比較したアルコール飲料の中で最も小さい影響でした。

ただし、蒸留酒が歯や全身の健康に安全という意味ではありません。

酸蝕の強さは、飲料の酸性度や成分、接触時間によって変わります。

参考:Erosive effects of commercially available alcoholic beverages on enamel. Dental Materials Journal. 2023.

研究論文はこちら

5.白ワインは透明なのに、なぜ歯に影響するの?

答えは、ワインの「色」ではなく「酸」にあります。

白ワインにも赤ワインにも酸が含まれています。

そして歯への酸蝕作用は、単純に飲み物の色で決まるわけではありません。

ポイント① pHが低い

ワインは一般的に酸性の飲み物です。

pHが低いほど酸性が強いことを示しますが、実際に歯を溶かす力はpHだけでは決まりません。

ポイント② 酸の量と種類も関係する

同じpHでも、飲み物に含まれる酸の総量や、唾液で中和されるまでに必要な量が異なります。

この性質を評価する指標の一つが「滴定酸度」です。

つまり、同じ白ワインでも、銘柄や製法によって歯への影響は変わり得ます。

ポイント③ 飲み方も大切

短時間で飲む場合と、長時間かけて少しずつ飲む場合では、歯が酸にさらされる時間が異なります。

特に、口の中でワインを転がすような飲み方を頻繁に繰り返す場合は注意が必要です。

6.ワインの専門家は本当に歯が溶けやすい?

実は、ワインのテイスティングを仕事にしている人を対象とした研究もあります。

2014年に発表されたオーストラリアの研究では、ワインの専門的な試飲に携わる人たちの歯の酸蝕と知覚過敏について調査しました。

その結果、テイスティング経験年数や年齢と、歯の酸蝕の程度との間に関連が認められました。

ただし、この研究は対象者数が少なく、年齢などの影響もあるため、ワインだけが原因と断定できるものではありません。

それでも、繰り返しワインを口に含む習慣が、歯に影響する可能性を考えるうえで興味深い研究です。

また、歯の酸蝕があっても、必ずしも知覚過敏を自覚するとは限らないことも報告されています。

「歯がしみないから大丈夫」とは言い切れないのです。

参考:Dental Erosion and Dentinal Sensitivity amongst Professional Wine Tasters in South East Queensland, Australia. 2014.

研究論文はこちら

7.赤ワインなら安心?実はそうでもありません

ここまで読むと、「それなら赤ワインを飲もう」と思うかもしれません。

しかし、赤ワインにも注意点があります。

赤ワインには、アントシアニンなどの色素やポリフェノールが含まれています。

これらは歯の表面の着色に関係する可能性があります。

また、赤ワインにも酸が含まれているため、酸蝕のリスクがないわけではありません。

赤ワインと白ワインの違いを整理

赤ワインで注意したいのは、歯の表面への色素の付着と酸蝕。

白ワインで注意したいのは、酸によるエナメル質への影響です。

そして、白ワインにはもう一つ意外な話があります。

2009年に紹介された研究では、白ワインに浸した歯をその後紅茶に浸すと、水に浸した歯よりも強く着色する結果が報告されています。

つまり、白ワイン自体は色が薄くても、その後に飲む紅茶などの着色に影響する可能性があるのです。

ただし、これは少数のウシの歯を使った実験であり、通常の食事で同じことが起きると証明されたわけではありません。

参考:British Dental Journal「White wine can stain teeth」

8.ワインを飲んだ後、すぐ歯を磨いてもいい?

これは患者さんからよくいただく質問の一つです。

ワインのような酸性飲料を飲んだ直後は、歯の表面が一時的に軟化している可能性があります。

その状態で強く歯を磨くと、摩耗を助長するおそれがあります。

そのため、ワインを飲んだ直後は、まず水を飲んだり、口を軽くすすいだりする方法がおすすめです。

歯磨きは少し時間を空け、やわらかい歯ブラシで優しく行いましょう。

酸性飲料の摂取後に歯磨きを待つ時間として30〜60分程度が案内されることもありますが、すべての人に最適な待機時間が確立しているわけではありません。

大切なのは、酸性飲料を頻繁に口に含み続けないことと、強いブラッシングを避けることです。

9.歯を守りながらワインを楽しむ5つの工夫

ワインを飲むこと自体を過度に怖がる必要はありません。

歯への影響を減らすために、日常生活で取り入れやすい工夫をご紹介します。

① 長時間だらだら飲み続けない

酸性飲料が歯に触れる回数や時間を減らすことが大切です。

② ワインの合間に水を飲む

水を飲むことで、口の中に残った酸を洗い流す助けになります。

③ 口の中で長く転がさない

テイスティングのように長時間口に含む飲み方を頻繁に繰り返すと、酸に触れる時間が増えます。

④ 食事と一緒に楽しむ

食事によって唾液の分泌が促され、酸を中和する働きが期待できます。

ただし、食事と一緒なら酸蝕が起こらないという意味ではありません。

⑤ 定期的に歯科医院でチェックする

酸蝕は初期には気づきにくい場合があります。

特に、前歯の先端が透けて見える、歯がしみる、歯の表面が薄くなったように感じる場合は、一度歯科医院で確認しましょう。

10.ホワイトニング後は白ワインと赤ワイン、どちらがいい?

ホワイトニング後の患者さんにとっては、ここも気になるところでしょう。

以前は、ホワイトニング後に赤ワインやコーヒーなどの色の濃い飲み物を避けるよう、厳しい食事制限が勧められることがありました。

しかし、近年の臨床研究をまとめたシステマティックレビューでは、いわゆる「ホワイトダイエット」と呼ばれる食事制限が、ホワイトニング効果を明確に改善するという証拠は得られていません。

つまり、ホワイトニングをしたからといって、赤ワインを必ず長期間禁止する必要があるとは言えません。

一方で、白ワインなら歯にまったく影響しないというわけでもありません。

白ワインにも酸が含まれているため、歯の状態や知覚過敏の有無によっては注意が必要です。

また、ホワイトニング直後は一時的に知覚過敏が生じることがあります。

冷たいワインや酸性飲料が刺激になる場合は、症状が落ち着くまで控えるなどの対応が必要です。

使用したホワイトニング薬剤や施術方法によっても注意点は異なりますので、担当歯科医師の指示を優先してください。

11.ホーチミンでワインを楽しむ日本人の方へ

ベトナム・ホーチミンでは、会食やレストランでワインを楽しむ機会がある方も多いでしょう。

「赤ワインは歯が着色するから白ワインにしている」

そんな方もいらっしゃるかもしれません。

しかし、今回紹介した研究を見ると、歯の健康は飲み物の色だけでは判断できないことがわかります。

白ワインには白ワインの、赤ワインには赤ワインの注意点があります。

特に、歯の表面が薄くなっている方、知覚過敏がある方、歯ぎしりなどによる歯の摩耗がある方は、酸蝕の影響にも注意したいところです。

ありが歯科では、歯の黄ばみが単なる表面の着色なのか、歯質の変化によるものなのかを確認し、お口の状態に合ったケアやホワイトニングをご案内しています。

12.よくある質問(FAQ)

Q1.白ワインは本当に赤ワインより歯を溶かしますか?

一部の実験室研究では、白ワインの方が赤ワインより強い酸蝕作用を示しました。ただし、ワインの種類や飲み方によって影響は異なり、日常生活でも必ず同じ結果になるとは限りません。

Q2.白ワインを毎日飲むと歯が薄くなりますか?

酸性飲料を頻繁に、長時間摂取する習慣は歯の酸蝕リスクを高める可能性があります。ただし、実際のリスクは飲む量や頻度、唾液の働き、食生活などによって異なります。

Q3.赤ワインの着色は歯科医院で落とせますか?

歯の表面に付着した着色であれば、クリーニングによって改善できる場合があります。ただし、歯の内部の変色や歯質の変化は、クリーニングだけでは改善できません。

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Q4.白ワインでも歯が黄色くなることはありますか?

白ワイン自体の色素による着色は赤ワインほど目立たないと考えられますが、酸蝕によってエナメル質が薄くなると、象牙質の黄色みが目立つことがあります。

Q5.ワインを飲んだ後は水を飲んだ方がいいですか?

はい。水を飲んだり口をすすいだりすることで、口の中に残った酸を洗い流す助けになります。ただし、酸蝕を完全に防げるわけではありません。

Q6.ホワイトニング後に赤ワインを飲んでもいいですか?

色の濃い飲食物を一律に制限する必要性は、近年の臨床研究では十分に支持されていません。ただし、施術直後の注意事項は薬剤や歯の状態によって異なるため、担当歯科医師の指示に従ってください。

Q7.酸で溶けた歯はホワイトニングで元に戻りますか?

いいえ。ホワイトニングは歯の色を明るくする処置であり、失われたエナメル質を再生させる治療ではありません。酸蝕の程度によっては、予防処置や修復治療が必要になります。

まとめ|白ワインは「歯に優しいワイン」とは限らない

赤ワインは歯を着色させる。

白ワインは色が薄いから歯に優しい。

そんなイメージを持っていた方にとって、今回の研究結果は少し意外だったのではないでしょうか。

実際の研究では、白ワインの方が赤ワインよりエナメル質から多くのカルシウムを溶出させたという結果が報告されています。

ただし、これは白ワインが必ず赤ワインより危険という意味ではありません。

大切なのは、次の3つです。

① 歯の着色と酸蝕は別の問題

② 飲み物の色だけでは歯への影響は判断できない

③ ワインの種類だけでなく、飲み方や頻度も重要

歯の色が気になるからといって、すべてのワインを我慢する必要はありません。

ワインを楽しみながら、適切な口腔ケアと定期的な歯科検診を続けることが大切です。

ホーチミンで歯の黄ばみ、知覚過敏、ホワイトニングについて気になることがあれば、ありが歯科にご相談ください。


参考文献

  1. Willershausen B, Callaway A, Azrak B, et al. Prolonged in vitro exposure to white wines enhances the erosive damage on human permanent teeth compared with red wines. Nutrition Research. 2009;29(8):558–567.
    https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/19761890/
  2. Erosive effects of commercially available alcoholic beverages on enamel. Dental Materials Journal. 2023;42(2):236–240.
    https://doi.org/10.4012/dmj.2022-155
  3. George R, et al. Dental Erosion and Dentinal Sensitivity amongst Professional Wine Tasters in South East Queensland, Australia. 2014.
    https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC3914594/
  4. American Dental Association. Dental Erosion.
    https://www.ada.org/resources/ada-library/oral-health-topics/dental-erosion
  5. White wine can stain teeth. British Dental Journal. 2009;206:402.
    https://doi.org/10.1038/sj.bdj.2009.335
  6. White diet is not necessary during dental bleaching treatment: A systematic review and network meta-analysis of clinical studies. Journal of Dentistry. 2025;153:105459.
    https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/39557282/

執筆・監修歯科医 ありが歯科院長 有賀智哉

日本人歯科医師として、ホーチミン旧1区にて日本品質の歯科治療を提供。
一般歯科・小児矯正・インプラント・ホワイトニングまで幅広く対応しています。

日本語対応で安心してご相談いただけます。

ホワイトニングについてもっと詳しく知りたい方はこちら
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