コーヒーで歯が黄ばむ本当の理由|焙煎度・豆の種類・温度とホワイトニングの最新研究【ホーチミン】
ホーチミンで生活していると、ベトナムコーヒーやカフェスアダー(練乳入りアイスコーヒー)を飲む機会が多いのではないでしょうか。
「毎日コーヒーを飲むと歯が黄色くなる?」
「ブラックコーヒーとミルク入りでは着色が違う?」
「ホワイトニングをしたらコーヒーを我慢しなければいけない?」
こうした疑問には、近年の歯科研究から興味深い答えが見えてきています。
結論からいうと、コーヒーは歯の表面に着色を生じさせる飲み物ですが、その程度はコーヒーの色の濃さだけでは決まりません。
豆の種類、焙煎度、抽出条件、温度、飲み方、そして歯の表面状態など、複数の要因が関係します。
さらに、コーヒーが歯を着色させることと、コーヒーがホワイトニングの漂白効果を妨げることは、同じ意味ではありません。
この記事では、ホーチミンのありが歯科が、コーヒーと歯の着色について研究結果をもとに解説します。

1.コーヒーで歯が黄ばむのはなぜ?
歯の変色は、大きく分けて外因性着色と内因性変色があります。
外因性着色とは、歯の表面や獲得被膜(ペリクル)に、飲食物などに由来する色素が付着することです。
コーヒーによる着色は主にこちらに関係します。
一方、歯の内部の色調、加齢に伴う変化、歯髄の状態などによる変色は、表面の汚れを落とすだけでは改善しません。
コーヒーをよく飲む方でも、黄ばみの原因がすべてコーヒーとは限らないのです。
コーヒーの着色に関係する成分
コーヒーには、クロロゲン酸類、焙煎で生成されるメラノイジンなど、多くの化学成分が含まれています。
クロロゲン酸(CGA)
コーヒーに含まれる代表的なポリフェノールの一群です。焙煎によって含有量が変化し、歯の変色との関連が研究されています。
ただし、クロロゲン酸が多いほど必ず歯が黄ばむ、という単純な関係ではありません。
メラノイジン
コーヒー豆を焙煎すると、糖とアミノ化合物などが関与するメイラード反応が進み、褐色の高分子成分が形成されます。
メラノイジンはコーヒーの色や風味に関係し、歯の着色を考えるうえでも注目される成分です。
その他の要因
コーヒーの酸性度、歯の表面の粗さ、ペリクルの状態、唾液、飲用頻度なども、実際の口腔内では無視できません。
つまり、コーヒーの着色は「黒い液体の色が歯に染み込む」というだけの現象ではないのです。
2.浅煎り・中煎り・深煎りで歯の着色は違う?
一般的には、色の濃い深煎りコーヒーほど歯が黄ばみやすいと思われがちです。
ところが、2025年に『Journal of Oral Science』に掲載された研究では、意外な結果が報告されました。
研究者らは、アラビカ種2種類、ロブスタ種2種類のコーヒーを浅煎り・中煎り・深煎りに分け、牛歯エナメル質を72時間浸漬して変色を測定しました。
焙煎度による違い
| 焙煎度 | コーヒーの特徴 | 実験での歯の着色 |
|---|---|---|
| 浅煎り | クロロゲン酸含有量が比較的多い | 3段階の中で最も少なかった |
| 中煎り | 焙煎による成分変化が進む | 最も大きかった |
| 深煎り | 色素濃度を反映する吸光度が高い | 中煎りより少なかった |
この研究では、4種類すべてのコーヒーで中煎りが最大の変色を示しました。
特に中煎りのエチオピア産アラビカ種では、72時間後の色差ΔE00が平均13.51と報告されています。
これは、コーヒーそのものの色が濃いほど、歯の着色が大きくなるとは限らないことを示す興味深い結果です。
ただし、この研究は牛歯をコーヒーに長時間浸漬した実験です。人が日常的に飲む条件とは異なるため、「中煎りが最も歯に悪い」と断定することはできません。
参考文献:Kim S, et al. Effect of coffee roasting level on tooth discoloration. Journal of Oral Science. 2025.
3.アラビカ種とロブスタ種ではどちらが歯を黄ばませる?
ベトナムはロブスタ種のコーヒー生産で知られています。
ホーチミンのカフェで提供されるベトナムコーヒーにも、ロブスタ種が広く使われています。
では、ロブスタ種とアラビカ種では、歯への着色に違いがあるのでしょうか。
2024年の研究では、次の4種類が比較されました。
- ベトナム産ロブスタ
- ウガンダ産ロブスタ
- エチオピア産アラビカ
- コロンビア産アラビカ
研究では、牛歯エナメル質をそれぞれのコーヒーに浸漬し、時間経過による色の変化を調べています。
その結果、この実験条件では、ロブスタ種のほうがアラビカ種より変色が小さい傾向が認められました。
研究者らは、クロロゲン酸含有量やpHなどの違いが関係する可能性を示しています。
しかし、コーヒーの品種だけで着色リスクが決まるわけではありません。
同じロブスタ種でも、焙煎度や抽出方法が変われば、飲料の化学的性質は変化します。
したがって、ベトナム産ロブスタだから歯が黄ばまない、という意味ではありません。
参考文献:Influence of coffee characteristics on tooth discoloration. American Journal of Dentistry. 2024.
4.ホットコーヒーとアイスコーヒーでは着色に差がある?
ホーチミンでは、氷をたっぷり入れたカフェダーやカフェスアダーが人気です。
では、温度によって歯への着色は変わるのでしょうか。
先ほどの2024年の研究では、ホットコーヒーとアイスコーヒーも比較されています。
実験では、ホットコーヒーのほうが大きな着色を示しました。
温度によって、色素成分と歯の表面との相互作用が変わる可能性があります。
ただし、日常生活では、ホットコーヒーも口に入れば冷めていきます。また、飲む時間、量、氷による希釈なども影響します。
そのため、アイスコーヒーなら歯が着色しない、という結論にはなりません。
ホットとアイスの違いは興味深い研究テーマですが、現時点では飲み方全体を考えることが重要です。
5.ベトナムの練乳入りコーヒーは着色しやすい?
ベトナムの代表的な飲み物、カフェスアダー。
濃いコーヒーに練乳を加え、氷とともに飲むスタイルです。
「ミルクを入れると色が薄くなるので、歯にも着色しにくいのでは?」と考える方もいるでしょう。
実際、コーヒーへの乳製品の添加が歯の着色に影響する可能性は研究されています。
しかし、牛乳、クリーム、加糖練乳は成分が異なります。
特に練乳には糖分が多く含まれるため、着色とは別に虫歯リスクを考える必要があります。
現時点で、カフェスアダーがブラックのベトナムコーヒーより歯を着色させにくいと断定することはできません。
また、歯の着色が少ない飲み物であっても、虫歯のリスクが低いとは限りません。
歯科医師としては、着色だけでなく、糖分、飲用頻度、口腔清掃状態も合わせて評価することが大切だと考えます。
6.歯の色の変化はどのように測定する?
ここからは少し専門的な話です。
歯の着色研究では、単に「黄色く見える」「暗くなった」と評価するだけではありません。
分光測色計などを使用して歯の色を測定し、色差を数値化します。
代表的な指標が、CIEDE2000による色差 ΔE00 です。
この値は、測定前後でどの程度色が変化したかを表します。
数値が大きいほど、色の変化が大きいことを意味します。
ただし、ΔE00は黄色さだけを測定する指標ではありません。
明度、赤み・緑み、黄み・青みなどを総合した色差であるため、「ΔE00が大きい=必ず黄色くなった」とは限らない点に注意が必要です。
歯の白さを評価する研究では、別途ホワイトネスインデックスなどが使われる場合もあります。
このような測定方法を知っておくと、コーヒーの着色に関する論文をより正確に理解できます。
7.コーヒーを飲むとホワイトニングの効果は落ちる?
ここが、今回の記事で最も重要な部分です。
コーヒーは歯を着色させる飲み物です。
では、ホワイトニング中にコーヒーを飲むと、漂白効果そのものが低下するのでしょうか。
実は、必ずしもそうとは限りません。
2025年に『Journal of Dentistry』に掲載されたシステマティックレビューとネットワークメタ解析では、ホワイトニング中の着色性飲食物の制限について検討されました。
この研究では7件の臨床研究が採用され、コーヒー、紅茶、赤ワインなどの飲用や食事制限の有無による漂白効果が比較されました。
その結果、色の濃い飲食物を制限したグループと、制限しなかったグループの間に、漂白効果の統計学的に有意な差は確認されませんでした。
これは、ホワイトニング中にコーヒーを一律に禁止する必要性について、再検討を促す結果です。
ただし、「どれだけ飲んでも問題ない」「長期間の色戻りにも影響しない」という意味ではありません。
研究で評価した期間や漂白方法、飲用条件には限界があります。
参考文献:White diet is not necessary during dental bleaching treatment: A systematic review and network meta-analysis of clinical studies. Journal of Dentistry. 2025.
8.ホワイトニング後24〜48時間はコーヒー禁止?
歯科医院でホワイトニングを受けた際に、「24〜48時間はコーヒーや赤ワインを避けてください」と説明された経験がある方もいるでしょう。
この指導は、ホワイトニング後の歯が一時的に着色しやすい可能性を考慮したものです。
しかし、近年の臨床研究では、着色性飲食物を厳しく制限することによって、必ず漂白効果が向上するという結果は得られていません。
2024年のシステマティックレビューでも、ホワイトニング中・後のホワイトダイエットの必要性が検討されています。
そのため、すべての患者さんに対して、同じ時間のコーヒー禁止を科学的に必須と説明することには慎重であるべきでしょう。
一方で、漂白剤の種類や使用方法、知覚過敏の有無などによって個別の注意事項が必要になることはあります。
ホワイトニング後の飲食については、使用した製剤と担当歯科医師の指示を優先してください。
参考文献:Hardan L, et al. Is a White Diet Necessary for Tooth Bleaching Procedures? A Systematic Review and Meta-Analysis. Dentistry Journal. 2024.
9.コーヒーによる着色はクリーニングとホワイトニング、どちらで落とす?
歯が黄色く見える場合、まず大切なのは原因を見極めることです。
クリーニングで改善しやすいケース
コーヒー由来のステインが主に歯の表面に付着している場合、専門的なクリーニングで改善できることがあります。
歯石やプラーク、表面の着色を取り除くことで、本来の歯の色に近づけます。
ただし、クリーニングは天然歯の内部の色を漂白する治療ではありません。
ホワイトニングが適しているケース
表面の汚れを除去しても歯の色が気になる場合は、医療ホワイトニングが選択肢になります。
過酸化水素や過酸化尿素を用いたホワイトニングは、歯の色調を明るくすることを目的とした治療です。
ただし、詰め物や被せ物などの人工材料は、天然歯と同じようには漂白されません。
クリーニングとホワイトニングの違い
| 比較項目 | クリーニング | 医療ホワイトニング |
|---|---|---|
| 主な目的 | 表面の汚れ・着色の除去 | 天然歯の色調を明るくする |
| コーヒーのステイン | 改善が期待できる | 表面着色の除去が主目的ではない |
| 歯の内部の色 | 基本的に変えない | 改善が期待できる |
| 詰め物・被せ物 | 表面清掃は可能 | 材料自体は漂白されない |
コーヒーをよく飲む方が歯の黄ばみを気にしている場合でも、すぐにホワイトニングが必要とは限りません。
まずは着色の状態を確認することが大切です。
10.毎日コーヒーを楽しみながら歯の着色を抑えるには?
コーヒーを完全にやめる必要はありません。
大切なのは、着色を必要以上に蓄積させないことです。
飲んだ後に水を飲む
コーヒーを飲んだ後に水を飲む、あるいは軽く口をすすぐ方法は、口の中に残った飲料を減らすという意味で合理的です。
ただし、それだけで歯の着色を確実に防げると証明されているわけではありません。
長時間だらだら飲まない
少量ずつ長時間飲み続けると、歯がコーヒーに接触する機会が増えます。
着色予防における飲用時間の最適な基準は確立していませんが、飲用頻度や接触時間を意識することは一つの考え方です。
特に砂糖や練乳入りのコーヒーでは、虫歯予防の観点からも頻回摂取に注意したいところです。
強く磨きすぎない
着色を落とそうとして、研磨性の高い歯磨き粉で強く磨くことはおすすめできません。
歯の摩耗や歯肉への負担につながる可能性があります。
着色が気になる場合は、自己流で削り落とそうとせず、歯科医院で相談してください。
定期的に歯の状態を確認する
着色だけでなく、虫歯、歯周病、修復物の状態も確認できます。
コーヒーを日常的に飲む方にとって、クリーニングと定期検診は歯の見た目と健康の両方を維持するために役立ちます。
11.よくある質問(FAQ)
Q1.ブラックコーヒーは歯が黄ばみやすいですか?
ブラックコーヒーは歯の表面に着色を生じさせる可能性があります。ただし、ミルク入りとの違いは添加物や飲用条件によって変わるため、ブラックが常に最も着色しやすいとは断定できません。
Q2.深煎りコーヒーのほうが歯が黄色くなりますか?
必ずしもそうではありません。2025年の牛歯を用いた実験では、深煎りより中煎りのほうが大きな変色を示しました。ただし、実生活での着色リスクの順位を示した研究ではありません。
Q3.ベトナムコーヒーは普通のコーヒーより歯が黄ばみますか?
ベトナム産ロブスタを含む研究はありますが、ベトナムコーヒー全般が他のコーヒーより着色しやすいと断定できるデータはありません。品種、焙煎、抽出、温度、添加物によって条件が変わります。
Q4.ホワイトニング直後にコーヒーを飲んでもいいですか?
臨床研究をまとめたレビューでは、着色性飲食物の制限による明確な漂白効果の改善は確認されていません。ただし、施術方法や使用製剤による注意事項があるため、担当歯科医師の指示に従ってください。
Q5.コーヒーの着色は歯磨きで落とせますか?
軽い表面着色は日常の清掃で改善する場合がありますが、蓄積したステインは歯科医院でのクリーニングが必要になることがあります。歯の内部の色は、通常の歯磨きだけでは変えられません。
Q6.ホワイトニングをしても、コーヒーを飲み続ければ元に戻りますか?
ホワイトニング後の歯の色は永久に維持されるわけではありません。経年的な色調変化には複数の要因が関係します。コーヒーは表面着色の要因の一つですが、飲用量だけで色戻りの時期を予測することはできません。
まとめ|コーヒー好きでも歯の白さを目指せる
コーヒーによる歯の着色には、豆の品種、焙煎度、温度、化学成分などが関係しています。
2025年の研究では、中煎りコーヒーが最も大きな変色を起こし、2024年の研究では、ホットとアイス、アラビカとロブスタで違いが確認されました。
一方、ホワイトニング中の飲食制限については、臨床研究の統合結果から、着色性飲食物を一律に禁止する必要性は十分に支持されていません。
重要なのは、コーヒーを必要以上に怖がることではなく、歯の黄ばみの原因を正しく判断することです。
ホーチミンのありが歯科では、歯の表面の着色、天然歯の色調、詰め物や被せ物の状態などを確認し、クリーニングや医療ホワイトニングについてご相談いただけます。
コーヒーを楽しむ生活と、歯の白さを保つためのケアは、必ずしも両立できないものではありません。
参考文献
- Kim S, et al. Effect of coffee roasting level on tooth discoloration. Journal of Oral Science. 2025;67(1):14–18. https://doi.org/10.2334/josnusd.24-0287
- Influence of coffee characteristics on tooth discoloration. American Journal of Dentistry. 2024. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/39186595/
- White diet is not necessary during dental bleaching treatment: A systematic review and network meta-analysis of clinical studies. Journal of Dentistry. 2025;153:105459. https://doi.org/10.1016/j.jdent.2024.105459
- Hardan L, et al. Is a White Diet Necessary for Tooth Bleaching Procedures? A Systematic Review and Meta-Analysis. Dentistry Journal. 2024;12(4):118. https://doi.org/10.3390/dj12040118
執筆・監修歯科医 ありが歯科院長 有賀智哉
日本人歯科医師として、ホーチミン旧1区にて日本品質の歯科治療を提供。
一般歯科・小児矯正・インプラント・ホワイトニングまで幅広く対応しています。
日本語対応で安心してご相談いただけます。
ホワイトニングについてもっと詳しく知りたい方はこちら
→ ホーチミンで歯のホワイトニング完全ガイド
関連記事
ホーチミンでホワイトニングをご希望の方へ
→ ありが歯科へのお問い合わせ・予約はこちら 093-117-4646
ホワイトニングのご予約・ご相談
ホーチミン旧1区のありが歯科。 日本語でお気軽にご相談ください。

